アメリカン・スクール

小島信夫「アメリカン・スクール」

小島信夫の作品には、周りの世界がおかしいのか、主人公がおかしいのか、読み手の自分がおかしいのか分からなくなる不思議なズレがある。

妻が勝手に家を建て、そこに馬が住み、夫が狂わんばかりの嫉妬に襲われる「馬」は特に不条理な展開で頭がくらくらする。

表題作の「アメリカン・スクール」は、英語をめぐる複雑な感情=対米感情をユーモアと皮肉たっぷりに描く。

どちらも戦後の日本社会の姿と照らし合わせて読み解くことができるだろうが、それを抜きにしても最近の不条理文学が小物に見えるほど面白い。不条理なのに、極めてリアル。

コメントを残す