廃市

福永武彦「廃市」

ひと夏、親戚の紹介で旧家の世話になることになった語り手の青年。そこで美しい姉妹と、姉の夫を巡る複雑な人間関係に触れることになる。水路が縦横に巡らされた、美しく、どこか退廃的な雰囲気が漂う田舎町を舞台とした名品。ノスタルジックな雰囲気が好きな人にはたまらないだろう。

表題作の他に「沼」「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」。とらえどころの無い先鋭的な作品と、人間関係の微妙な綾を描いた作品。そのどちらにも孤独と人恋しさが滲む。

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