蒲田行進曲

つかこうへい「蒲田行進曲」

スターの「銀ちゃん」と、銀ちゃんに心酔する大部屋役者「ヤス」、銀ちゃんの女である「小夏」。3人の入り組んだ関係を描いた作品だが、とにかく人物造形が圧巻。傍若無人に振る舞いつつ、やたらと細かくて実は気が小さい銀ちゃん。いたぶられるほど、それを信頼だと喜ぶヤス。読んで笑いつつも、支配-被支配者が互いに依存し合う似たような現実の人間関係を思い浮かべ、胸が痛くなる。結局、どちらが本当に相手を支配しているのか分からない。もともと戯曲として書かれた作品だけど、小説としても完成されている。

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