毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている

寺山修司「毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている」

寺山修司の初期戯曲集。

奇抜な試みで知られる人だけど、戯曲そのものには決して奇をてらった印象はなく、ストレートな文学作品として読める。「毛皮のマリー」も良いけど、読み物としては「血は立ったまま眠っている」が面白い。

天才という言葉はあまり軽々に使いたくないが、23歳でこれを書けてしまうくらいだから、既存の表現方法では飽き足らなかったのも分かる気がする。

「地下鉄の鉄骨にも一本の電柱にもながれている血がある そこでは血は立ったまま眠っている」

“見えないものを見る”が、見えているものに目をつぶる態度と表裏一体という「星の王子さま」も寺山らしい挑発的な作品。

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