きことわ

朝吹真理子「きことわ」

不確かな過去の記憶。感傷を言葉を重ねて表現したような小説。貴子と永遠子の視点が交錯し、過去と現在、現実と夢が溶け合う。今自分が読んでいる視点がどこにあるのか分からなくなる。やや試作のような雰囲気があるが、技巧的で文章も美しい。巻末の町田康の解説が素晴らしい。

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