2015年まとめ

2015年に読んだ本は121冊(前年比15冊増)、3万5683ページ(同5958ページ増)。前年より多少増えたが、11〜13年と比べると少ない。震災で公私共に色々あった11年が149冊だったことを考えると、時間的にも精神的にも余裕のある時より、余裕のない時の方が本に逃げ込む傾向があるように思う。

飛び抜けて強い印象を残した本は無いが、良い本は多かった。

ノンフィクションでは、岡田喜秋「定本日本の秘境」、高野秀行「恋するソマリア」、高山文彦「どん底 部落差別自作自演事件」、佐藤清彦「土壇場における人間の研究 ニューギニア闇の戦跡」、小熊英二「生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後」、小林和彦「ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記」、オリバー・サックス「妻を帽子と間違えた男」、アブドルバーリ・アトワーン「イスラーム国」など。


また古典芸能に触れるようになってから、江戸〜明治の社会風俗や思想・宗教観の変化に興味が湧くようになり、一昨年くらいからそうした本を手にとるようになった。昨年読んだ本では、藤田覚「江戸時代の天皇」、安丸良夫「神々の明治維新 神仏分離と廃仏毀釈」、末木文美士「日本宗教史」などが勉強になった。

小説では、まずローラン・ビネの「HHhH」。

日本の作家では、近年高い評価を受けている劇作家の小説を集中的に読んだ。戌井昭人や前川知大、本谷有希子、前田司郎の作品も面白かったが、個人的には岩井秀人「ヒッキー・カンクーントルネード」が一番。平田オリザ「幕が上がる」も高校演劇を題材とした青春エンタメ小説といった内容だが、爽やかで良い作品だった。

歴史小説はあまり好きなジャンルではないが、朝井まかて「阿蘭陀西鶴」、松井今朝子「幕末あどれさん」は面白かった。

いとうせいこう「想像ラジオ」も、震災と鎮魂というテーマに対する真摯な試みとして評価したい。

このほか古い本だが、安藤鶴夫「巷談本牧亭」、色川武大「怪しい来客簿」、水上勉「雁の寺・越前竹人形」、庄野潤三「夕べの雲」、三浦哲郎「忍ぶ川」、カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」などが心に残った。

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