2016年まとめ

2016年に読んだ本は130冊(前年比9↑)、43653ページ(同7970↑)。

印象に残ったのは、ノンフィクションの新刊ではまずこの3冊。

  

長谷川康夫「つかこうへい正伝」
宮城公博「外道クライマー」
高野秀行「謎のアジア納豆」

つかこうへいの無茶苦茶っぷりと、沢ヤの無茶苦茶っぷり、そして納豆の世界の奥深さ。

新刊以外では、山川静夫「大向うの人々」、岩下尚史「名妓の夜咄」、伊藤正一「定本黒部の山賊」などが、あまり知らない世界を生き生きと描いていて引き込まれた。団鬼六「真剣師小池重明」、原武史「皇后考」、瀬川拓郎「アイヌと縄文」も刺激的な一冊だった。

  

フィクションは、新刊はそれほど読んでいないが、その中で塩田武士「罪の声」は読み応えがあった。話題になった村田沙耶香「コンビニ人間」、崔実「ジニのパズル」も近年の新人賞作品の中では比較的珍しく素直に読んで面白いと思える作品。
古い作品では、三好十郎の戯曲「浮標」が強く胸を打った。

平野啓一郎「決壊」、保坂和志「季節の記憶」、南木佳士「ダイヤモンドダスト」、船戸与一「夢は荒れ地を」、角田光代「ツリーハウス」などは、もっと早く読めば良かった。本も食わず嫌いは勿体無いと痛感。「麻雀放浪記」「深夜特急」も。

海外の作品では、シーラッハの戯曲「テロ」は、内容もさることながら、上演の際の試みが面白く、分析サイトも必見。ハイジャックされた飛行機を撃墜した空軍少佐を裁く法廷劇で、観客の投票で有罪か無罪かを決める。日本と海外での結果が正反対になっているのが興味深い(日本は全公演有罪、海外は無罪が圧倒的)。

カーラ・パワー「コーランには本当は何が書かれていたか?」、ダニエル・T・マックス「眠れない一族」、マルク・レビンソン「コンテナ物語」、ピエール・バイヤール「読んでいない本について堂々と語る方法」、V.E.フランクル「それでも人生にイエスと言う」、H.S.クシュナー「なぜ私だけが苦しむのか」も読んで良かった。世界やものの見え方に少なからず影響を与えられたと思える本。

 

最後に、年末に上巻を読み終え、現在下巻の途中のユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」。我々はどのような道を歩んできたのか、私はなぜここにいるのか。生物学から宗教、社会、経済学まで縱橫に語り尽くし、人類の歴史を描く。学問が細分化され、言論も視野狭窄に陥りがちな現代で、こうした本は広く読まれるべきだと感じる。

昨年の唯一の反省&心残りは話題の日本文学全集。古典の現代語訳者のセレクトが非常に面白く、何冊か買ったものの、1冊もまだ読めていない。Kindleに慣れてしまって、重い本は後回しにしてしまう。

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