まずいスープ

戌井昭人「まずいスープ」

短篇3本。表題作は結構個性的な人物も出てくるけど、基本的には日常をとらえた小説。主体性の無い主人公で日常を描くというのは日本の小説の定番のようなもの。主人公の存在の薄さがかえって情景を鮮やかにして、こんな瞬間あるよね、って共感できる場面が多いけど、こうした小説のスタイルはそろそろ飽和状態という気もする。この作品も面白いし、結構好きだけど、何か既視感があって1年後に覚えていられるか……。ただ3本ともどこか引き込まれる魅力があって、他の作品も読んでみたいと思う。

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