宮本常一と写真

石川直樹、須藤功、赤城耕一、畑中章宏、宮本常一「宮本常一と写真」

宮本常一の写真は決して上手な写真ではない。自身の影や被写体と関係の無いものがよく写り込んでいる。ただ、どこかひかれるものがある。

人は往々にして自分の美意識で現実を切り取ろうとする。余計なものまで見ることができる人は少ない。

宮本の写真には作為がない。全ての風景を面白いと思い、何にでも敬意を持って接する姿勢が根底にあるのだろう。写真家の作品につきものの「写真を見ている」という感覚、被写体と自分との間のレンズの存在を感じさせない。

宮本の写真に石川直樹らの文章を付けたシンプルな本だが、宮本の写真の魅力がどこから来るのか何となく分かった気がする。

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