ネコババのいる町で

瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」

奔放な母に捨てられるようにして叔母と祖母のもとに預けられ、二人と隣人のネコババらに見守られて少女は育つ。力まず軽やかな筆で、幼少期の思い出の断片を綴っていく。自分とは全く違う境涯の主人公だけど、不思議と共感し、引き込まれる。こうした作品は意外と少ない。

30年近く前の芥川賞受賞作だが、寡作な著者で今回初めて作品を手に取った。表題作のほか併録の二篇も面白く、もっと読んでみたいけど、最近はもう書いていないのかな。

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