日本の舞踊

渡辺保「日本の舞踊」

舞踊という最も言葉で表現しにくい芸能をいかに語るか。

著者は「身体の声」という言葉を使う。これだけでは色々な文脈で使われる表現のため、多様に理解できてしまうが、その声とは何かを、井上八千代や友枝喜久夫ら名人の芸を比較して丁寧に説明する。

読みやすい本だが、舞踊の歴史や用語の解説はごく短く、入門書というより、むしろ芸術論。

舞踊における身体の声は、こちらがその言語を知らなくては意識をすり抜けてしまう。そういう意味では叫びではなく、知性的な語りなのだろう。そうだとしたら語ることは可能なはず。その見本のような一冊。

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