大阪 ―大都市は国家を超えるか

砂原庸介「大阪 ―大都市は国家を超えるか」

都市開発史を軸とした大変分かりやすい大阪市史。

東京以外の全ての都市が直面した都市の発展限界と行政の効率化という二つの課題。

都市は法人税などを府県に吸い上げられるため税収面では常に不利な立場に置かれる。都市としての強みが出ない住民税のみでは、実際の市域を拡張しなくてはいずれ人口とともに税収が頭打ちとなるが、都市圏の拡大でコストはかさんでいく。さらに高所得層が郊外=市外に流失し、税収に加えて文化も失われる。

東京のみが都市圏を特別区として税収と開発の乖離を避ける事ができたが、他の都市は政令指定市にとどまり、実質的には成長限界が課されてしまった。

特に大阪では戦前は市域の拡大が行われたが、戦後は府との利害対立で合併が進まず、政治状況から議会と首長のチェック機能も働かなくなり、非効率な投資だけがかさんでいった。やがて高度経済成長の終焉とともに財政が行き詰まる。

こうした経緯からは都構想が奇抜なものではなく、歴史的に選択肢として十分ありえたものだということが分かる。

ただ既に縮小する時代に入っている中で、その仕組みが有効なのか、特別区のあり方が十分に練られないままでは、都制で無くても実現できる二重行政の解消や、ただの分市にとどまる可能性が高い。

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