大坂の非人 乞食・四天王寺・転びキリシタン

塚田孝「大坂の非人 乞食・四天王寺・転びキリシタン」

都市の形成とともに乞食が集団化し、新たな貧人の統制を担い、やがて町奉行所の御用を担うようになっていく。大坂ではそこに四天王寺との関係も絡み、垣外仲間=非人は、えた身分と別れて独自の組織化が進んだ。転びキリシタンがその中核を担ったというのも興味深い。

江戸時代の社会というと「士農工商えた非人」という固定された階層構造で捉えがちだが、それはあくまで制度、言説的な分け方で、実際の社会生活レベルでの有り様を表しているわけでは無い。現実の社会はもっと複雑で変化に富んでいる。百姓=農民という理解と同じく、為政者側からの視線だけでは社会の姿を見誤ることになる。

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