小説の技巧

デイヴィッド・ロッジ「小説の技巧」

「意識の流れ」「マジック・リアリズム」「信用できない語り手」「複数の声で語る」「エピフィニー」「メタフィクション」など小説の技法を実際の引用文とともに解説。元は英国の新聞連載で、短くまとまっているためとても読みやすい。創作というより批評や読解の入門書として優れている。訳者(柴田元幸)があとがきに記しているように「健全な技術的知識は、同じテクストから読み取れる情報量を増やしてくれるはずである。要するに、小説をより面白く読めるようにしてくれる」。

小説の歴史は他の芸術様式(詩や演劇、音楽、絵画)に比べれば短いが、この300年ほどで様々な技法が生み出され、視点の置き方、内面の描写など、表現の幅を広げてきた。この本は編年体で書かれているわけではないが、引用されている作品の年代を見れば、小説の進化(あるいは流行の変化) の歴史が分かる。

これの日本文学版を誰か書いてくれないかな。

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