ゆれる

西川美和「ゆれる」

当人たちも目を反らしてきた兄弟間の微妙な感情が、ある事件を機に露わになる。どんな関係でも、好意を持っている相手にでも、人と人との間には隠したい醜い思いもつきまとう。嫉妬や羨望、苛立ち、軽蔑、生理的な嫌悪……

この小説版は登場人物がそろって饒舌すぎる気もするけど、一人一人の語りを通じて秘められた感情を剥き出しにしていく手法は巧み。どこか嫌な、見たくないものを見た感じが残る。

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