倉田喜弘「文楽の歴史」
操芝居から人形浄瑠璃、文楽の成立、発展過程を丁寧に追った概説書。大衆芸能の歴史は文字資料の不足から正確に辿ることが難しいが、三人遣いの成立や、興行への三味線の登場時期などに仮説を交え、かなり分かりやすい通史となっている。凋落と再生を繰り返しつつ、太夫、三味線、人形遣いの三業それぞれの技術の発展、改良で人気を保ち、伝統を築いてきたことがよく分かる。三和会、因会の分裂など、戦後の記述は少なめだが、そのあたりは既に結構な量の本が書かれているので不要と言えば不要か。
読んだ本の記録。