創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史

輪島裕介『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』

「演歌」はいつ成立したのか。

ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」の冒頭には、客観的には新しい現象の「国民」が、ナショナリストの主観的な目には古くからある存在に見えることが書かれている。ナショナリズムに限らず、「伝統」の顔をして現れる多くの文化・風俗は実際には新しいものである。著者は日本の大衆音楽史を丁寧にたどり、演歌というジャンルが60年代後半のカウンターカルチャーと商業主義の中で成立した過程を明らかにする。
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退廃姉妹

島田雅彦「退廃姉妹」

東京の裕福な家庭に育った姉妹の戦後の物語。母親を早くに亡くし、一緒に暮らしていた父親は戦犯容疑で連れて行かれてしまう。家を守るため、姉妹は自宅を米兵相手の慰安所にして生活費を稼ぐようになる。そこに特攻隊帰りの青年や、姉妹の父によって慰安所で働くことになった少女のエピソードが絡む。
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あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集

日野啓三「あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集」

日野啓三の短編集。表題の二作に加えて、戦地で失踪した記者の行方を追うデビュー作の「向こう側」など全八作を収録。幼年時代を植民地の京城で過ごし、その後に新聞記者としてベトナムやソウルで特派員をしていた自らの経験を下敷きとした私的な作風ながら、そこに戦後日本で都市生活を送る虚無感のようなものが滲んでいる。
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ダーク・スター・サファリ カイロからケープタウンへ、アフリカ縦断の旅

ポール・セロー「ダーク・スター・サファリ」

米国の作家ポール・セローは若い頃、東アフリカで教師をしていた。作家として名を成し、60歳を前にカイロからケープタウンへと大陸をバスと鉄道で縦断することを思い立つ。コンラッドの「闇の奥」を手に、貧困と格差、人種対立の続く“暗黒星”の旅に出る。
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アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン

高野秀行「アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン」

ベトナムの「フイハイ」、奄美大島の「ケンモン」、アフガニスタンの「ペシャクパラング」。

ミャンマーやソマリアのルポで高い評価を受ける著者だが、大学時代のデビュー作「幻獣ムベンベを追え」から一貫して未確認動物=UMAの探求にも力を入れていて、トルコ・ワン湖周辺を舞台とした「怪獣記」など、一連の著作はいずれも面白い。
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小林賢太郎戯曲集 home FLAT news

「小林賢太郎戯曲集 home FLAT news」

ラーメンズの戯曲集。といっても長いものではなく、ト書きもはほとんどないコント台本。収録作は初期の名作「読書対決」など。かみ合わない、バカバカしい会話の中に、ふと、コミュニケーションや人間の本質的な滑稽さをついたようなやりとりがある。斜め上の発想と鋭いセンスに脱帽。
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ここは退屈迎えに来て

山内マリコ「ここは退屈迎えに来て」

郊外の国道沿いにチェーンのレストランや衣料品店が並ぶ無個性な地方都市。そんな街に暮らすことの“退屈”を主題とした短編集。主人公のほとんどは10~20代の女性で、都会に出て行くことに憧れているか、かつて暮らした都会に心を残してきている。

地方都市の描き方がステレオタイプすぎる気はするものの、そのステレオタイプがあながち間違いでもないのがまさに地方の閉塞感であり、地方から都会に出て暮らしている人間として、個人的に共感する部分も多かった。
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