フルハウス

柳美里「フルハウス」

表題作は泉鏡花文学賞と野間文芸新人賞を受賞した著者の初期の代表作の一つ。

ばらばらになった家族を立て直すことを夢見て、立派な一戸建てを新築した父。しかし、成人して自分たちの生活を確立している娘たちも、ずっと以前に家を出た妻も、寄りつく気配はない。父はその空虚を埋めるかのようにホームレス一家をその新居に住まわせる。
“フルハウス” の続きを読む

カブールの園

宮内悠介「カブールの園」

芥川賞候補になった表題作は、幼い頃に受けたいじめや差別の記憶と、過干渉な母との関係に悩む日系女性が主人公。タイトルからアフガニスタンの話かと思ったら、「カブールの園」とは女性が受けているセラピーのことを指す言葉で、作品の舞台は米国西海岸。現実のカブールは作中に登場しない。
“カブールの園” の続きを読む

屈辱ポンチ

町田康「屈辱ポンチ」

十数年ぶりに再読。著者の作品は高校生の時に「夫婦茶碗」を読んで爆笑して以来、新刊が出ると手に取ってきた。それまで活字、ましてや小説で声を上げて笑ったことなんてなかったので、小説の面白さを教えてくれた作家の一人でもある。年を重ね、笑いに対して鈍感になった(涙腺は緩くなったのに)せいか、もはや吹き出すことは無かったけど、今読んでもやっぱり面白い。
“屈辱ポンチ” の続きを読む

行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険

春間豪太郎「行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険」

ロバに荷車を引かせてモロッコを南北に縦断。モロッコと言ってもアトラス山脈から地中海にかけての地域で、人跡未踏の地を行く前代未聞の大冒険!という性質の挑戦ではないが、行く先々で起こる事件や出会いの一つ一つが非常に面白く、旅の魅力に富んでいる。どことなく、電波少年の旅のようなノリ。
“行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険” の続きを読む