渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」

浄瑠璃作者、近松半二の生涯を書く時代小説。近松門左衛門の縁者か弟子のように思われがちな名前だが、直接の関係はなく、半二が門左衛門に私淑して近松姓を名乗った。

近松半二こと穂積成章は、儒学者で浄瑠璃好きの父のもとで育ち、道頓堀の竹本座に通ううちに浄瑠璃を書くようになる。同時代の歌舞伎作者、並木正三と半二を幼馴染みの関係としたフィクションの設定が物語を魅力的なものにしている。
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アムリタ

吉本ばなな「アムリタ」

 

男好きする母、年の離れた繊細な弟、下宿しているいとこ、訳あって身を寄せている母の幼なじみ、頭を打って記憶が不確かな私。少し変わった五人家族。

妹は若くして死を選び、私はその恋人と付き合い始める。どこまでも続いていきそうな穏やかな日常に、当たり前の日常から少しずれてしまった人々が登場する。
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夜のピクニック

恩田陸「夜のピクニック」

「歩行祭」と呼ばれる高校行事で夜通し歩く生徒たちの姿を描いた青春小説。第2回(2005年)本屋大賞受賞作。

異母きょうだいでクラスメートでもある融と貴子の関係を軸に、高校生の男女が友人や恋人、家族との関係で悩みながら生きている姿が、刻一刻と変化していく夜を背景に描かれる。
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犬は「びよ」と鳴いていた~日本語は擬音語・擬態語が面白い~

山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた~日本語は擬音語・擬態語が面白い~』

わんわん、びりびり、しとしと、つるり。擬音語・擬態語のあり方は、世界の見え方、聞こえ方を司ると言っても過言ではない。

日本語の擬音語・擬態語の数は他の言語と比べてもかなり多いとされる。日本語学者の著者は擬音語・擬態語の移り変わりから、日本語と日本社会の変化をひもといていく。
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地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」

青木美希『地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」』

8年が経ち、ついこの間の出来事のような気もする一方で、現在の問題ではないという印象も強くなっているように感じる。元号が変われば、風化の感覚は一層進むだろう。

言うまでもなく、原発事故は過去ではなく今の問題であり、廃炉作業だけでなく、避難者の苦悩も現在進行形である。母子で自主避難し、支援の打ち切りで困窮して自ら命を絶った母親のエピソードが紹介されているが、原発事故という特殊な人災の最大の罪は、人々の間に分断をもたらしたことだった。避難するか、留まるか。その溝は家庭の中にも生まれた。同時に、一部の例外をもって避難者を裕福だと誹謗したり、自主避難者を過敏だと嘲笑するような、社会の想像力の欠如も露わになった。
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