スマートフォンは社会を変えただけでなく、人間をも変質させるかもしれない。
テレビやゲームに加え、そもそも印刷された本ですら、登場した当時は警戒された。しかし、スマホをはじめとする21世紀のデジタル端末の生活への浸透具合は、過去の様々なメディアとは比較にならない。
“スマホ脳” の続きを読む
読んだ本の記録。
スマートフォンは社会を変えただけでなく、人間をも変質させるかもしれない。
テレビやゲームに加え、そもそも印刷された本ですら、登場した当時は警戒された。しかし、スマホをはじめとする21世紀のデジタル端末の生活への浸透具合は、過去の様々なメディアとは比較にならない。
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ふとしたことから、高齢化が進む団地で夫と暮らし始めた39歳の女性の日常を綴る。特別なことは何も起こらない。特別な人間も出てこない。人探しという物語の軸はあるものの、そこに劇的な展開はない。
著者の筆は過去と現在を行き来しながら、団地とそこで暮らした人々の記憶を浮かび上がらせる。ひと言声をかわしただけの人物にも、すれ違っただけの人にも、人生があり物語がある。
“千の扉” の続きを読む
戦後まもない時期の大阪にあった大阪市警視庁を舞台とした警察小説。民主警察の理想と現実、戦争の残した傷、そしてそれらを乗り越えて生きようとする人々の姿が描かれている。
“インビジブル” の続きを読む
いま自分がいる場所、いま自分が見ている光景、いま自分が知っていること、それが全てではないことを自然科学の知識(学問全般にも当てはまるけど)は教えてくれる。それは時に、目の前しか見えなくなった人生の視野を開き、心を軽くしてくれる。科学者らしい短編集。
落語家は自身で新作を創ることが多く、漫才や放送番組なども手がける「演芸作家」ではなく、「落語作家」を名乗る人は少ない。著者は桂枝雀のファンから専属作家になり、次第に一門以外からの依頼も増え、前例のなかった「専業の落語作家」として活躍を続けている。これまでに創った新作落語は263本(江戸落語や古典の改作も含めると倍以上!)にもなるという。
“新作らくごの舞台裏” の続きを読む
「筒井康隆コレクション」(2014~17年)の刊行に合わせて行われたロングインタビューをまとめたもので、それほど期待せずに読み始めたら、これがめっぽう面白い。
“筒井康隆、自作を語る” の続きを読む
タイトルが秀逸。心酔するアイドルがファンを殴ったことで炎上する。現代的で軽やかな題材だが、身体性のある文章は大器を感じさせる。決してポップなだけの話ではない。
“推し、燃ゆ” の続きを読む
大阪には坂が少ない。現在の市街地の大半が沖積平野で起伏がほとんどない。そのぶん、上町台地との間に並ぶ天王寺七坂は、二つの世界を結びつけるような不思議な存在感がある。真言坂、源聖寺坂、口縄坂、愛染坂、清水坂、天神坂、逢坂、という名前もいい。
本書はその七坂を舞台にした連作短編集。本格ミステリのイメージの強い作家だが、本書でつづられるのは怪談。怖いというより、不思議で切ない話が多い。
“幻坂” の続きを読む
表題作と「十三夜のコインランドリー」「こことよそ」「生きる歓び」の4編を収録した短編集。
ある時期から猫の話ばかり書くようになった著者だが、この短編集も「こことよそ」以外は主に猫の話。ただ、そこにつづられているのは猫の物語ではなく、個々の猫の存在そのものであり、著者は猫を通して世界や生、死のことを考えている。
“ハレルヤ” の続きを読む