おいしい中東・イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅


サラーム海上「おいしい中東 オリエントグルメ旅」

トルコ、レバノン、モロッコ、エジプト、イエメン、イスラエル。音楽ライターの著者が中東を旅しつつ、各地の食文化に触れ、現地の料理を習っていく。レシピ付きエッセイ本というより、エッセイ付きレシピ本と言った方がふさわしいくらい各章末のレシピが充実しており、その数52品。いずれも日本で再現可能で、実用性も高い。
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日本人の英語

マーク・ピーターセン「日本人の英語」

海外を一人旅したと言うと、英語が堪能だと勘違いされることが多い。海外に行ったといってもその多くが英語が通じない土地だし、旅をして何を学んだかといえば、言葉が通じなくてもコミュニケーションは取れるという事実であって、英語を磨こうという努力は早々に放棄してしまった。

英語で会話するためには、思考も英語で行わなくてはならない。ところが、残念ながら英語で思考するための仕組みは日本の学校教育では身につかない。思考の中で占める冠詞の位置づけや、数、時間の感覚などが英語と日本語では大きく異なるが、その違いについての丁寧な説明は学校ではしてくれない(おそらく教師自身もよく分かっていないのだろう)。

「日本人の英語」は1988年刊の名著。日本語と英語の発想の違いを丁寧に解き明かしてくれる。英語の習得に有用なだけではなく、日本語話者と英語話者の思考の違いについての興味深い解説書でもある。
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世界のおばあちゃん料理

ガブリエーレ・ガリンベルティ「世界のおばあちゃん料理」

本屋で思わず買ってしまった一冊。邦題はストレートなレシピ本という感じだけど、原題は“In Her Kitchen”。著者はイタリアの写真家で、その名の通り、世界のおばあちゃんのキッチンの写真に、得意料理のレシピと短いライフストーリーを付したもの。欧米からアジア、アフリカ、太平洋の島国まで50カ国58人。家庭料理だけあって、ほとんどは塩やオリーブオイルなどシンプルな味付けで日本でも簡単に再現可能なのがうれしい(一部、ムースやイグアナ、乾燥芋虫など、手に入らない食材も混ざっているけど)。それぞれの料理におばあちゃんの生き方や家族との関係が滲み、土地の暮らしが垣間見えて引き込まれる。

ミステリーの書き方

日本推理作家協会「ミステリーの書き方」

現役ミステリー作家に、プロット、人物描写、トリック等さまざまな観点から創作手法を聞き、寄稿とインタビューでまとめた一冊。綾辻行人や有栖川有栖ら新本格派から、東野圭吾、石田衣良といったジャンル横断型、大沢在昌、船戸与一らハードボイルド系まで、顔ぶれも豪華というか主要作家はほぼ網羅。書き方指南というより、それぞれの作家の小説観や創作姿勢が伺えて面白い。経歴を並べるよりも雄弁な作家名鑑になっている。
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山岳気象大全

猪熊隆之「山岳気象大全」

無茶苦茶ためになる一冊。山岳地帯でどう天気が変化していくのか、地形による影響も含めて解説していてとても分かりやすい。

山の天気は天気予報だけでは頼りないと思いつつ、これまで漫然と地上天気図を眺めるだけだったけど、高層天気図や地形、実際の雲の様子を考慮に入れた天気の見方が分かり、目からうろこ。過去の遭難事故の多くを前後の天気図と比較して検討しているのも勉強になる。2年前の出版だけど、もっと早く読んでいれば。

演劇最強論

徳永京子、藤原ちから「演劇最強論」

若手〜中堅劇団を中心とした演劇ガイド。以前は全く興味がなかった世界だが、最近足を踏み入れて、他のジャンル以上に今なお創造性豊かな作品が作られていることに驚いた。20世紀を通じて他の表現手法の鉱脈が徹底的に掘られ、停滞感が漂う中、それらの成果がよりプリミティブな芸術である舞台に環流しているのかもしれない。
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海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders

難民支援協会「海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders」

思わず買ってしまったけど、使いでがありそうなレシピ集。日本で暮らす難民自身の手によるもので、スーパー等で手に入る食材で作りやすいように工夫されているのがうれしい。

エチオピアのドロワットやインジェラを始め、ウガンダやクルド料理など、もう一度食べたかったけど、ネットで探しても現実的なレシピが見つからなかった料理に手を出せそう。しかし日本はスパイス類が高い……

上方伝統芸能あんない

堀口初音「上方伝統芸能あんない 上方歌舞伎・文楽・上方落語・能・狂言・上方講談・浪曲・上方舞」

能、文楽、歌舞伎から落語、浪曲、舞まで、上方伝統芸能の初歩の解説書。観劇ガイドに加え、柔と剛、舞と踊りなど、上方と江戸の芸能の違いにも触れていて、とても分かりやすい。それぞれの項目に演者へのインタビューも載っていて読み物としても充実。