古典や名作のパロディなどを除けば、二次創作でこれほど広く読まれた作品は他にないのでは。劉慈欣「地球往時」(三体)シリーズの熱心なファンが書いた続編であり、謎解き編。著者・宝樹はその後、オリジナル作品で飛躍し、現代中国を代表するSF作家の一人になっている。
三部作で残った謎にみごとな解釈をあて、特に第二部の結末から第三部への急展開における、三体文明の変化の理由と地球文明の失敗についての説明は説得力がある。
“三体X 観想之宙” の続きを読む
読んだ本の記録。
古典や名作のパロディなどを除けば、二次創作でこれほど広く読まれた作品は他にないのでは。劉慈欣「地球往時」(三体)シリーズの熱心なファンが書いた続編であり、謎解き編。著者・宝樹はその後、オリジナル作品で飛躍し、現代中国を代表するSF作家の一人になっている。
三部作で残った謎にみごとな解釈をあて、特に第二部の結末から第三部への急展開における、三体文明の変化の理由と地球文明の失敗についての説明は説得力がある。
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しばらく読書メモをつける習慣が途絶えてしまっていたけど、1年の終わりに、印象に残ったものだけはまとめておこうと思う。
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今年、フィクションでもっとも楽しく読んだのは多分に漏れず「三体」三部作。全5巻。
読んでいる間、現実と物語の重さが逆転してしまうほど引き込まれる作品というのは滅多に出会えるものではないけど、これは、わりと本気で仕事とかどうでもよくなるほど作品世界に浸ることができた。1週間、寸暇を惜しんで読み続けた。
“三体/三体Ⅱ 黒暗森林/三体Ⅲ 死神永生” の続きを読む
VRのような「もう一つの世界」は、もはや荒唐無稽な設定や、遠い未来の話とは感じられなくなってきている。技術としては未熟でも「SF」というフィクションの枠を超えたリアリティを持ち始めている。
“アメリカン・ブッダ” の続きを読む
「筒井康隆コレクション」(2014~17年)の刊行に合わせて行われたロングインタビューをまとめたもので、それほど期待せずに読み始めたら、これがめっぽう面白い。
“筒井康隆、自作を語る” の続きを読む
11作が収められた短編集。表題作と冒頭に収録された「エンダーのゲーム」(後に長編化された)が有名だが、どれも傑作。明確なオチや背景の説明、あっと驚く結末が用意されているわけではないが、ドラマ性豊かで、それぞれに寓話のような読後感を残す。ハードSFというより、ファンタジー要素が強い。
“無伴奏ソナタ” の続きを読む
原題は「Bootleg」。選挙で勝利した「健全健康党」がチョコレート禁止法を発令。健康に悪いという理由で菓子やジュースが禁じられた社会で、少年たちがチョコレートの密造を始める。
“チョコレート・アンダーグラウンド” の続きを読む
名著「四畳半神話大系」の16年ぶりの続編にして、久しぶりの“腐れ大学生”もの。といっても前作の後日譚を描くのではなく、外伝、二次創作的な内容。劇団「ヨーロッパ企画」の名作「サマータイムマシン・ブルース」を「四畳半」の世界に翻案し、おなじみのキャラがタイムマシンを巡る騒動を繰り広げる。
“四畳半タイムマシンブルース” の続きを読む
さほどSFを読まない身からすると、SFと言われると、どうしても、科学、未来、宇宙、のような言葉が思い浮かぶ。そして、たまに手に取ると、その多彩さに驚かされる。サイエンスに想像力を働かせるだけでなく、サイエンスの制約から想像力を解き放ったフィクションもSFなのかもしれない。
本書は中国出身の米国人作家、ケン・リュウの日本オリジナル短編集。ベスト盤のようなものだから、面白くないわけがない。
“紙の動物園” の続きを読む
「カエアンの聖衣」が非常に面白かったので、同じくコアなファンの多い「禅銃」も。
反乱で崩壊に危機に瀕した帝国、他の宇宙からの干渉、究極の戦士「小姓」、小さくも強力な兵器「禅銃」――など、SFやファンタジー好きの心をくすぐる設定盛りだくさん。
“禅銃(ゼン・ガン)” の続きを読む