三体/三体Ⅱ 黒暗森林/三体Ⅲ 死神永生

劉慈欣「三体」 「三体Ⅱ 黒暗森林」 「三体Ⅲ 死神永生」

  
 

しばらく読書メモをつける習慣が途絶えてしまっていたけど、1年の終わりに、印象に残ったものだけはまとめておこうと思う。

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今年、フィクションでもっとも楽しく読んだのは多分に漏れず「三体」三部作。全5巻。

読んでいる間、現実と物語の重さが逆転してしまうほど引き込まれる作品というのは滅多に出会えるものではないけど、これは、わりと本気で仕事とかどうでもよくなるほど作品世界に浸ることができた。1週間、寸暇を惜しんで読み続けた。

あらすじ・解説はもうあちこちで語られているので割愛。ひと言でまとめてしまえば、異星人との遭遇というスペースオペラの王道だが、スケールの大きさと発想力で、SFの面白さ全部盛りといえるような作品に仕上がっている。ハードSFとワイドスクリーンバロック(あるいはバカSF)の魅力を併せ持ち、リーダビリティも抜群。

なにより驚愕させられたのは、二部、三部と進むにつれて、だれるどころかスピードアップし、スケールにおいても、展開においても、予想をはるかに超えた物語を見せること。第2部で提示される宇宙観(暗黒森林)が秀逸で、第3部のスケールの大きさは笑ってしまうほど。文革期の中国から始まった物語は、人類の未来どころか宇宙の果てに行きつく。人間の想像力ってすごい。

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