谷崎潤一郎、三島由紀夫、丸谷才一ら文豪の「文章読本」から、本田勝一の名著「日本語の作文技術」、さらにレポートや論文の書き方といった本まで、古今の文章指南書を滅多切り。口語文の誕生前後から現代まで文章術の本の系譜をたどり、国語教育の歴史にまで踏み込み、文章という表現の本質を探る。王様が裸だと喝破し、「良い文章」という目標を脱構築する。軽妙な文章だが、非常に充実した内容。
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文章読本
「作文の極意はただ名文に接し名文に親しむこと、それに盡きる。事実、古来の名文家はみなさうすることによつて文章に秀でたので、この場合、例外はまつたくなかつたとわたしは信じてゐる」
文章術の本は、作家、記者、ライター、学者など、さまざまな立場の人の手で数え切れないほど書かれてきたし、今も新刊が続々と誕生している。その大きな流れの一つとして、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫など、作家による「文章読本」がある。その中でも丸谷才一の文章読本は、作家系の本としては、谷崎らの先行作の内容を踏まえていることもあり、決定版と言っていいだろう。
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おんなのこはもりのなか
太陽と乙女
2003年のデビュー以来、さまざな媒体で書いてきたエッセイをまとめたもの。文庫版約500ページと大ボリュームで、仕事、趣味、日常、生い立ちと話題は多岐にわたる。
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読書について
一言でまとめるなら、くだらない本を読むな、自分の頭で考えないやつはクソだ。(もちろん、「くだらない」は、ただ低俗という意味ではない)
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兄の終い
ガンジス河でバタフライ
20歳女子の一人旅。香港、シンガポール、マレーシア、インド。刊行は2000年だが、綴られている旅は90年代の初めのもの。ベストセラーで、テレビドラマ化されたこともあって、著者は女性バックパッカーのアイコンのようなイメージを築いた。
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猫を棄てる 父親について語るとき
父について綴ったエッセイ。趣味や日常生活については多くの文章がある作家だが、家族や生い立ちについては断片的な事柄しか書いてこなかっただけに、創作の背景が分かる貴重な資料でもある。
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失われた旅を求めて
あふりこ
川瀬慈編著「あふりこ フィクションの重奏/遍在するアフリカ」
人類学者5人の共著だが、研究報告ではなく、フィクション。
収録作は、川瀬慈「歌に震えて」「ハラールの残響」、村津蘭「太陽を喰う/夜を喰う」、ふくだぺろ「あふりか!わんだふる!」、矢野原佑史「バッファロー・ソルジャー・ラプソディー」、青木敬「クレチェウの故郷」の6編。エチオピア北部で歌を生業とする人々「ラワジ」や、西アフリカの妖術師など題材はさまざま。いずれも実験的な構成、内容で、小説、随想、散文詩などの境界を越えて、読み手を多様なアフリカの姿に誘う。
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