民俗学への招待

宮田登「民俗学への招待」

民俗学の大家、宮田登氏のコラム。年中行事や民間信仰を始め、学校の怪談など都市民俗学にも触れ、興味深いテーマを多く取り上げている。ただ、ダブりも多いし、どれも尻切れトンボな印象。あとがきで新聞に掲載したコラムと知って納得。「民俗学への招待」と言うタイトルから入門書と勘違いしたが、エッセイと考えれば、それなりに面白い。

アフリカを食べる

松本仁一「アフリカを食べる」

「カラシニコフ」の著者の特派員時代をつづったエッセイ。山羊の骨髄、牛の生き血、インパラの刺し身……、軽い文章でアフリカの食文化が描かれているが、同時に紛争や貧困の現実も痛い程伝わる。

食をテーマとしたルポは辺見庸の「もの食う人々」が有名だが、辺見の文章はやや大仰で、時折傲慢さも感じられる。著者の年齢も連載・刊行時期もほぼ同じだが、辺見より視線が現地に近い。軽妙だが、敬意に満ちている。