Bowie’s Books―デヴィッド・ボウイの人生を変えた100冊

ジョン・オコーネル著、菅野楽章訳「Bowie’s Books」

副題は「デヴィッド・ボウイの人生を変えた100冊」。一人の少年がいかにして「デヴィッド・ボウイ」になったのか。13年に英国から始まった自身の大規模な回顧展に際し、ボウイが寄せた「愛読書100冊」のリストをもとに、希代の音楽家の人生と音楽に読書がいかに影響を与えたかを解き明かす刺激的な一冊。
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ネックスピーカー/Sony SRS-NS7


Sony SRS-NS7

やっと音楽観賞用途に耐え得るネックスピーカーが登場した。

・音質は満足(LDAC接続で使用)
・バッテリーの持ちも充分(公称12時間)
・ソフト周りの使いやすさや、接続の安定性等も問題なし
・欠点は割高な値段(約3万円)と、音声ガイダンスのやかましさ
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2021年まとめ

2021年に読んだ本は167冊(前年比↑47)、4万6892ページ(同↑1万159)。

  

一番面白かったのは「三体」三部作として、それを除いて、小説の新刊から個人的な好みを加味してベスト5を選ぶと、村田喜代子「姉の島」、リービ英雄「天路」、藤沢周「世阿弥最後の花」、川本直「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」、宮内勝典「二千億の果実」。
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二千億の果実

宮内勝典「二千億の果実」

「純文学」の小説がどうも小ぶりになっているような印象を受ける。日常を通じて普遍を描くこともできるだろうし、それこそが文学の可能性だろうけど、ただの本読みとしては、単純にもっとスケールの大きい小説を読みたいと時々思う。

前作「永遠の道は曲りくねる」をはじめとして、著者の作品のスケールは大きい。作品の長さそのものとは関係なく、人類の経験したすべてを小説にしたいという迫力が感じられる。
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その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱

高橋久美子「その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱」

今や地方の土地は負の資産になりつつある。貸駐車場に転用できるような土地はまだいいとして、中山間地の農地や山林などは放置するわけにもいかず、かといって買い手もいない。

父が実家の田んぼを太陽光パネルの業者に売る――。母からの電話でそのことを知った著者は、自ら土地を買い取り、田畑として維持することを決意する。その後の試行錯誤の日々をまとめたエッセー集だが、これが滅法面白い。
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ケアの倫理とエンパワメント

小川公代「ケアの倫理とエンパワメント」

「ケア」という言葉が最近よく聞かれるようになったが、それはこれまでの社会において、いかにケアという営為が軽んじられてきたかの裏返しだろう。近代社会では経済的・精神的な「自立」が重んじられ、他者に配慮し、関係性を結ぶ「ケア」の営為は軽視されてきた(その上で、介護や育児などのケア労働は女性などの弱い立場に押し付けられてきた)。

社会・経済活動の中でケアの価値観が軽視されたことは、文学作品の読解にも影響を与えていたのではないか。著者は「ケア」の視点から古今東西の文学作品を読み解き、近代的な価値観のもとで見過ごされてきた要素を丁寧に拾い上げていく。
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Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章

ルトガー・ブレグマン著、野中香方子訳「Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章」

 

人間は本質的に善良か、野蛮か。利己的か、利他的か。人間が信じるに足るものかどうかは、古来さまざまな分野で議論の対象になってきたが、近代社会はホッブズに代表されるような性悪説に基づいて構築されてきた。法や権力者の支配がなくては、人間社会は「万人の万人に対する闘争」に陥ってしまう――。そうした考え方は多くの人の心に根付いている。

しかし、著者は「ほとんどの人は本質的にかなり善良だ」と言い切る。人間の残酷さの証明とされるスタンフォードの監獄実験や、ミルグラムの服従実験などの欺瞞を暴き、人類がいかに協調性に富み、利他行為を厭わず、同胞を傷つけることに抵抗を覚える種かということを証拠とともに浮かび上がらせていく。その筆の運びはスリリングだ。
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