アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン

高野秀行「アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン」

ベトナムの「フイハイ」、奄美大島の「ケンモン」、アフガニスタンの「ペシャクパラング」。

ミャンマーやソマリアのルポで高い評価を受ける著者だが、大学時代のデビュー作「幻獣ムベンベを追え」から一貫して未確認動物=UMAの探求にも力を入れていて、トルコ・ワン湖周辺を舞台とした「怪獣記」など、一連の著作はいずれも面白い。
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不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか

鴻上尚史「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」

陸軍の最初の特攻隊「万朶隊」の隊員で、9回出撃し、通常攻撃や機体の故障などで9回とも生きて帰ってきた佐々木友次氏の記録。亡くなる2カ月前までの貴重な証言が収められている。
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美しい顔

北条裕子「美しい顔」(群像2018年6月号)

震災で母を亡くした少女が、日常に戻ることを拒絶するかのようにカメラの前で“被災者”を演じる。芥川賞候補として発表された後、複数の無断引用箇所が指摘されたが、盗作か参考かという議論に個人的にはそれほど関心が無く、この作品を読んで一番に感じたことは、こうしたフィクションが書かれるようになるだけの時間があの日から経過したんだなぁということ。
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生家へ

色川武大「生家へ」

阿佐田哲也名義の作品には家族の話はあまり出てこないが、色川武大の小説では生家と父親のことが繰り返し語られる。無頼派として知られる作家だが、その根底には孤独と劣等感とともに、自身のルーツに対する深い愛惜がある。

「生家へ」は回想に幻想が混じり合った連作短編。77~79年にかけて発表され、幼い頃に級友たちになじめなかったコンプレックスと、屈託を抱えた高齢の父親との愛憎入り交じった関係がさまざまに角度を変えて綴られる。
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小林賢太郎戯曲集 home FLAT news

「小林賢太郎戯曲集 home FLAT news」

ラーメンズの戯曲集。といっても長いものではなく、ト書きもはほとんどないコント台本。収録作は初期の名作「読書対決」など。かみ合わない、バカバカしい会話の中に、ふと、コミュニケーションや人間の本質的な滑稽さをついたようなやりとりがある。斜め上の発想と鋭いセンスに脱帽。
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ここは退屈迎えに来て

山内マリコ「ここは退屈迎えに来て」

郊外の国道沿いにチェーンのレストランや衣料品店が並ぶ無個性な地方都市。そんな街に暮らすことの“退屈”を主題とした短編集。主人公のほとんどは10~20代の女性で、都会に出て行くことに憧れているか、かつて暮らした都会に心を残してきている。

地方都市の描き方がステレオタイプすぎる気はするものの、そのステレオタイプがあながち間違いでもないのがまさに地方の閉塞感であり、地方から都会に出て暮らしている人間として、個人的に共感する部分も多かった。
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