Neil Young 全アルバム 1970年代

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はじめに 関連作品 ランキング

Live Rust(ライブ・ラスト) 1979年

Rust Never Sleepsツアーからのライブ盤。弾き語り中心の前半とクレイジー・ホースと組んだエレクトリック主体の後半。曲目、演奏ともに充実した内容で、ニールの70年代の締めくくるに相応しい名盤。このツアーは巨大なセットやスタッフの衣装など、演出にもこだわっており、映像版の「Rust Never Sleeps」でその全容を見ることが出来る。

Rust Never Sleeps(ラスト・ネヴァー・スリープス) 1979年

70年代後期を代表する傑作。ライブ録音された7曲とスタジオ録音の2曲で構成されている。前半はアコースティック、後半はエレクトリックで構成され、ライブでの定番となった名曲揃い。

「Hey Hey, My My」で歌われる「It’s better to burn out than to fade away」(消え去るより燃え尽きたい)はロック史に残るフレーズとなった。

Comes A Time(カムズ・ア・タイム) 1978年

評価の高い「ZUMA」の後に取りかかった作品が、この極端なカントリー・アルバムというのが何ともニールらしい。

ニコレット・ラーソン(Nicolette Larson)、ベン・キース(Ben Keith)、ティム・ドラモンド(Tim Drummond)、ジョー・オズボーン(Joe Osborn)、スプーナー・オールダム(Spooner Oldham)J.J.ケイル(J.J.Cale)らが組んだユニットに「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド・オーケストラ(Gone With The Wind Orchestra)」と名前を付け、多くの曲でストリングスを使用している。

「Look Out For My Love」と、ニコレットのソロでヒットもした「Lotta Love」はクレイジー・ホースとの録音だが、違和感なくアルバムの中に溶け込んでいる。またこの2曲はニールのキャリアの中でも、特に優しい響きを持った曲で、ニールの成熟を感じさせる……と思ったら、次作でニールはパンクへの強い共感を示し、暴走&混迷の80年代に突入していく。

Decade(ディケイド 輝ける十年) 1977年

1976年までの10年間の活動を集大成したベスト盤。バッファロー・スプリングフィールド時代からの代表曲ほぼ全てを網羅し、未発表曲も収録。初期のニールのファンなら欠かせない。

American Stars ‘n Bars(アメリカン・スターズ・アンド・バーズ) 1977年

ニールの代表曲である「Like A Hurricane」が収録されているが、それ以外の曲の雰囲気はさまざま。録音時期も74年から77年に渡っており、アルバム全体としてはやや散漫な印象もある。

前半はリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)とニコレット・ラースン(Nicolette Larson)が参加したカントリー調の曲で、後半は発売直前にお蔵入りとなったアルバム「Chrome Dreams」からの曲を中心に構成されている。

「Chrome Dreams」は後に流出し、ブートレグとして広く出回った。そのアルバムを踏まえ、ニールは2007年に「Chrome Dreams II」というタイトルのアルバムを発表している。


Chrome Dreams(クローム・ドリームス) →2023年リリース

Hitchhiker(ヒッチハイカー) →2017年リリース

Long May You Run(太陽への旅路) 1976年

CSN&Yは、74年に再結成ツアーを経て「Deja Vu」以来の新作を目指したが、プロジェクトは頓挫。その後、ニールとスティーヴン・スティルス(Stephen Stills)が組んで「The Stills-Young Band」名義でこのアルバムを発表した。全9曲中5曲がニールの作品。タイトル曲はニールの代表作の一つになった。

アルバム発売前の76年6月から、Stills-Young Bandでの全米ツアーも行われたが、ニールが途中で離脱し、スティルスのソロツアーとなってしまった。

Zuma(ズマ) 1975年

苦しみの中で生み出された前2作を経て、吹っ切れたニールとクレイジー・ホースが生み出した大傑作。

ドラッグで死んだギタリスト、ダニー・ウィットンに変わってフランク・ポンチョ・サンペドロ(Frank “Poncho” Sampedro)が加入。2ndで誕生したニール&クレイジー・ホースのサウンドをさらに進化させた。名曲「Cortez The Killer」、「Danger Bird」を収録。

Tonight’s The Night(今宵その夜) 1975年

クレイジー・ホースのギタリスト、ダニー・ウィットン(Danny Whitten)と、ローディー(スタッフ)のブルース・ベリー(Bruce Berry)への追悼アルバム。酩酊状態で録音されたとされ、他に類を見ないほどラフな演奏。「Mellow My Mind」などでは、声もまともに出ていない。だがその切実さが聴く者の胸を締め付ける。ある意味唯一無二で、ロック史にも例を見ないアルバム。

ダニーは72年11月、ブルースは73年6月に亡くなった。表題作はブルースが亡くなった夜のことを歌っている。

あまりに暗い内容にレコード会社が難色を示したため、一時お蔵入りとなって録音から2年後の1975年にリリースされた。ダニーがリードボーカルを取るニールとの共作曲「Come On Baby Let’s Go Downtown」(1970年、Fillmore Eastでのライブ録音)が収録されている。

Homegrown(ホームグロウン) →2020年リリース

On The Beach(渚にて) 1974年

「On The Beach」と「Tonight’s The Night」はニールの“陰”の側面の代表作。これらを最高傑作とする人も多い。

「Tonight’s The Night」の録音後に、ベン・キース(Ben Keith)、ラルフ・モリーナ(Ralph Molina)、ティム・ドラモンド(Tim Drummond)に、ザ・バンド(The Band)のリヴォン・ヘルム(Levon Helm)、リック・ダンコ(Rick Danko)をゲストに迎えて制作された。

カントリー調、ブルース調の曲が中心で、冒頭の「Walk On」など、明るく聞こえる曲もあるが、全編を通じて強烈な厭世的な気分が漂っている。「See the Sky About to Rain」。乾いた絶望の中に、ニールの声が響き渡る。

Time Fades Away(時は消え去りて) 1973年

ソロでは初のライブアルバム。「Harvest」ヒット後の初の大規模ツアーにもかかわらず、ほぼ新曲、未発表曲というセットで、このアルバムに収録された曲も全てそれらから選ばれている。

ニールらしいラフな演奏をバックに、絞り上げるような声の「Journey Thru The Past」、自身の少年時代を歌った「Don’t Be Denied」の2曲は必聴。長くCD化されなかったのが不思議な隠れた名盤。

Journey Through The Past(過去への旅路) 1972年

同名映画のサントラ盤。前作で商業的な成功をおさめたニールは、そこから距離を置き、独自路線に突っ走る。今に至るニールの姿勢が顕れた作品でもある。

映画は、シェイキー・ピクチャーズ(Shakey Pictures)というニールが立ち上げたプロジェクトの第1弾として制作された。ライブなどの映像をコラージュした作品だが、散漫な内容は酷評され、忘れ去られた。音楽アルバムとしても決して完成度が高い作品ではないが、16分に及ぶ「Words」などの貴重な音源もあり、ファンなら必聴。

Harvest(ハーヴェスト) 1972年

ベン・キース(Ben Keith)、ジャック・ニッチェ(Jack Nitzsche)らと組んだ4作目。ニールのキャリアの中でも特に商業的な成功をおさめた作品で、これを最高傑作とするファンも多い。

クレイジー・ホースは、ダニー・ウィットンの薬物依存が深刻化しており、ニールはテレビ番組出演のために訪れたナッシュビルで出会ったベン・キース(Ben Keith)やジャック・ニッチェ(Jack Nitzsche)、ケニー・バトレー(Kenny Buttrey)、ティム・ドラモンド(Tim Drummond)らとのアルバム制作を決めた。ニールは彼らが組んだバンドに「ストレイ・ゲイターズ(The Stray Gators)」と名前を付け、ゲストにジェイムス・テイラー(James Taylor)とリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)を招いた。

カントリー調の曲が多いが、陰影の深いメロウな雰囲気はニールならでは。弾き語りからオーケストラとの共演まで多彩な内容。シングル 「Heart of Gold(孤独の旅路)」はビルボード1位となり、1972年度の年間アルバムチャートでも1位となった。

4 Way Street(4ウェイ・ストリート) CSN&Y 1971年

個人的にCSN&Yのベスト。

2枚組のライブ盤。Disc1はメンバーそれぞれのアコースティック・セットで、ニールの弾き語りメドレーが素晴らしい。Disc2はエレクトリック・セットで激しく荒々しいギターバトルが続く。「Southern Man」と「Ohio」の2曲は鳥肌もの。

After The Gold Rush(アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ) 1970年

「Harvest」と並び、初期の最高傑作と言える作品

CSN&Yの「Deja Vu」の直後に発表され、レコーディングもほぼ同時期に行われている。当初はクレイジー・ホースのメンバーと組んで制作を開始したが、ダニー・ウィットン(Danny Whitten)の薬物依存もあり、ジャック・ニッチェ(Jack Nitzsche)やニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)を迎えて録音を継続した。結果的に多彩な曲がそろうアルバムとなった。

ピアノの弾き語りの一方、「Southern Man」での荒々しいギターなど、音楽的にも広がりのある名盤と呼ぶに相応しい作品。ソングライターとしてのニールの才能が本格的に開花したアルバムとも言える。

Deja Vu(デジャ・ヴ) CSN&Y 1970年

元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルス(Stephen Stills)、元バーズのデヴィッド・クロスビー(David Crosby)、元ホリーズのグラハム・ナッシュ(Graham Nash)の3人で結成した「クロスビー、スティルス&ナッシュ」(CS&N)にニール・ヤングが合流し、CSN&Yが誕生した。ウッドストックへの出演と今作のヒットで、彼らは一躍時代の寵児となった。

今作中、ニールが手がけたのは「Helpless」と「Country Girl」の2曲のみ。ただ、このユニットにニールの参加が大きなインパクトを与えたことはライブ版の「4 Way Street」を聴くとよく分かる。

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