ダムに沈んだ山人集落の記録。著者は新潟県北部、朝日連峰の山中にある三面集落に1985年の閉村直前に長期滞在し、16ミリフィルムでその生活を記録した。狩りの習俗から、採集、農耕、日常生活まで、村人の語りを中心に丁寧にまとめており、失われた山村の生活の貴重な証言となっている。
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日本百名山
息子と狩猟に
登山家で猟師でもある著者の初の小説。命を巡る普遍的な問いを突きつけてくる表題作と、高峰での極限状態を描いた「K2」の2編を収録。
小学6年生の息子を連れて鹿狩りに来た週末ハンターが、死体を埋めに来た詐欺グループの男と遭遇する。男は息子を人質に取り、自分の手元には猟銃がある。獣の命を奪うのが許されるなら、なぜ殺人犯の命を取ることは許されないのか。
個人的にハンターの最後の選択には共感しないが、それでも自分ならどうするかという問いからは逃げられない。読み手を物語に巻き込み、当時者にしてしまう力を持った問題作。
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梅里雪山 十七人の友を探して
1991年、京大学士山岳会と中国登山協会の合同登山隊17人が、未踏峰の梅里雪山で消息を絶つ大規模な遭難事故があった。遭難で仲間を失った著者は、再度日中合同で登頂を目指した96年の登山隊に参加したものの、天候の悪化で断念。その後、98年夏に氷河の下流で遺体が見つかったことを機に麓の村に通い始める。
一人で村に住みながら、遺体と遺品を探し歩く日々。聖山を汚した登山隊への地元の反発は根強かったが、徐々に村民との間に友情が育まれていく。そして村で暮らし、山の周囲を巡る巡礼路を歩くうちに、著者の心の中で、登山の対象としての「梅里雪山」が聖山「カワカブ」へと変わっていく。
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ドキュメント生還 -山岳遭難からの救出
遭難に至る過程と、いかに生き延びたかのドキュメント。とても参考になる内容で、もっと早く読めば良かった。ノンフィクションの読み物としても非常に面白い。
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日本アルプス―登山と探検
W.ウェストンの名前は山歩きをする人間なら一度は聞いたことがあるだろう。明治時代の日本に滞在し、アルプスを中心に各地の山々を踏破した。日本の山の魅力を世界に知らせるとともに、修験道などの宗教登山ではない“趣味”としての登山を日本に浸透させた。
“Mountaineering and exploration in the Japanese Alps(日本アルプスの登山と探検)”はその代表作で、初めて槍ヶ岳や立山などを旅した時の情景が克明に記録されている。
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すきあらば 前人未踏の洞窟探検 洞窟ばか
洞窟はやったことがないけど、むちゃくちゃ楽しそうだ。著者の洞窟愛に、読みつつ、くらくらしてしまう。自分は何をしているのか、本当にしたいことをして生きているのか、と。
少し前まで「探検」や「冒険」はもはや存在しないと思っていた。地理的な空白部は20世紀までにほぼ埋め尽くされ、21世紀の今、Google Earthで見ることができない土地は無いし、費用と時間さえあればどこにだって辿り着ける。と、思っていた。
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山怪 山人が語る不思議な話
外道クライマー
宮城公博「外道クライマー」
エンタメ系ノンフィクションでは、早くも今年ベストと呼び声高い一冊。2012年、那智の滝に登り逮捕されたクライマーが綴る“山ヤ”よりも無茶苦茶な“沢ヤ”の世界。籔をかき分け、あえて谷底に入り、死と隣り合わせでゴルジュを正面突破する。沢ヤに比べれば、アルパインクライマーのなんと常識的なことか。馬鹿馬鹿しさを突き抜けて、次第に神々しく見えてくる。
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定本 黒部の山賊 アルプスの怪
伊藤正一「定本 黒部の山賊 アルプスの怪」
戦後間もない頃に北アルプス最奥の地に山小屋を買い、そこに住み着いていた「山賊」とともに雲ノ平を拓き、登山者を見守ってきた伊藤正一氏。狩りの話から、ヘリコプターの無い時代の小屋建設の苦労、遭難者の救助。さらに、佐々成政の埋蔵金伝説をめぐる悲喜こもごもや、カッパや化け狸の話まで。
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