R.E.M. 全アルバム・ガイド

R.E.M.は1980年、Michael Stipe(マイケル・スタイプ=Vo)、Peter Buck(ピーター・バック=G)、Mike Mills(マイク・ミルズ=B)、Bill Berry(ビル・ベリー=Dr)の4人によって米ジョージア州アセンズで結成。パンクやニューウェーブ、フォークなどの影響を受けつつ、オルタナティブ・ロックのシーンを切り開いた。“カレッジ・ロック”の旗手として頭角を現すと、90年代には作風を大きく広げ、世界的な人気を確立した。2011年解散。


Murmur(マーマー) 1983年

鮮烈なデビューアルバム。フォークロックやガレージロックのサウンドに曖昧なボーカルが独特の陰影を与え、独自の世界を築いている。”Radio Free Europe”がカレッジラジオでヒット。ローリングストーン誌の1983年ベストアルバムに選ばれた。


Reckoning(夢の肖像) 1984年

デビュー作より疾走感が増し、乾いたタイトなサウンドに。ライブの定番曲となった”So. Central Rain (I’m Sorry)”などを収録。バンドの人気を確固たるものに。
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Neil Young 全アルバム 2020年代

20年代 10年代 00年代 90年代 80年代 70年代 60年代
はじめに 関連作品 ランキング


Talkin to the Trees(トーキン・トゥ・ザ・トゥリーズ) 2025年

2024年、メンバーの体調不良により急遽クレイジー・ホースに代わって結成された新バンド、The Chrome Hearts(クローム・ハーツ)との新譜。メンバーは、古い付き合いのSpooner Oldham(スプーナー・オールダム)のほか、ニルス・ロフグレンに代わってクレイジー・ホースに加わったMicah Nelson(マイカ・ネルソン)らPromise of The Realの面々。素朴で粗削り。”Big Change”や”Lets Roll Again”といったメッセージソングから、身近なものへの思いを歌った曲まで。ニールの変わらぬ魂がこもった一作。


Coastal:The Soundtrack 2025年

「Before and After」のもとになった2023年ソロ・ツアーの模様を収録したライブ盤。ダリル・ハンナが撮影・監督したドキュメンタリー映画「COASTAL」のサウンドトラックとして位置付けられている。コロナ禍明けのツアーで、親密な雰囲気の中、”Throw Your Hatred Down”や”Song X”など珍しい曲も。約40分と、ライブ盤としては物足りないボリュームだが、 内容は充実。初期出荷・配信版にミックス上のミスがあり、CDは回収。配信音源も修正された。


Oceanside Countryside(オーシャンサイド・カントリーサイド) 2025年

1977年録音の未発表アルバム。「Comes A Time」に先行してレコーディングされてお蔵入りになっていたもの。ほとんどの曲は同作や「Hawks & Doves」などで後にお披露目されており、完成度は決して低くない。「Archives Vol.3」の一枚として復刻済みだが、本アルバムにはニールが当初思い描いていた曲順、ミックスで収録されている。前半ソロ、後半バンド。70年代後半のニールの充実を伝える一枚。


Early Daze(アーリー・デイズ) 2025年

1969年録音。Crazy Horse(クレイジー・ホース)との初期音源集。メンバーは、Danny Whitten(ダニー・ウィッテン)、Billy Talbot(ビリー・タルボット)、Ralph Molina(ラルフ・モリーナ)、Jack Nitzsche(ジャック・ニッチ)。荒々しくもみずみずしい、記念碑的一枚。


Fu##in’ Up 2024年

クレイジー・ホースとの1990年のアルバム「傷だらけの栄光(Ragged Glory)」は、言うまでもない名盤。本作は、その収録曲ほぼ全曲(”Mother Earth”以外)を再現したライブ録音で、いずれの曲もタイトルを歌詞から取る形で変更しており、そこに今のニールの視点がにじむ。

23年11月4日のプライベート・パーティーにおける演奏とのことだが、熱のこもった疾走感のある演奏で、30年以上の歳月を経てなお、ニールの魂が変わっていないことを印象づける。声など、もちろんそこに衰えを見ることもできるが、、そんなのは些末なこと。「Ragged Glory」に込められたロックの精神は年齢程度では揺らがないのだ。「Before and After」とともに、ファンであればあるほど沁みる一枚では。

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FiiO BTA30 Pro


FiiO BTA30 Pro

PCからLDACで音楽を飛ばしたい。Sony SRS-NS7を使い始めてから、ずっとそう思っていたが、なかなかちょうど良い機器が見つからなかった。

中国の音響機器メーカーFiiOのUSB DAC「BTA30」は、Bluetoothレシーバー&トランシーバーを搭載し、しかもLDAC送信ができる優れものだったが、USB接続時にLDAC送信ができないという致命的な欠点があり、選択肢に入らなかった。

それが「Pro」になり、USB入力からのLDAC送信が可能になった。電源もUSBから供給されるため、配線はコード1本で大変使いやすい。主にネックスピーカーで使用しているため、細かな音色までは聞き比べていないが、SBC接続に比べれば明らかに音質は向上しており、十分満足のいくレベル。
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Bowie’s Books―デヴィッド・ボウイの人生を変えた100冊

ジョン・オコーネル著、菅野楽章訳「Bowie’s Books」

副題は「デヴィッド・ボウイの人生を変えた100冊」。一人の少年がいかにして「デヴィッド・ボウイ」になったのか。13年に英国から始まった自身の大規模な回顧展に際し、ボウイが寄せた「愛読書100冊」のリストをもとに、希代の音楽家の人生と音楽に読書がいかに影響を与えたかを解き明かす刺激的な一冊。
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ネックスピーカー/Sony SRS-NS7


Sony SRS-NS7

やっと音楽観賞用途に耐え得るネックスピーカーが登場した。

・音質は満足(LDAC接続で使用)
・バッテリーの持ちも充分(公称12時間)
・ソフト周りの使いやすさや、接続の安定性等も問題なし
・欠点は割高な値段(約3万円)と、音声ガイダンスのやかましさ
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Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2020)

Rolling Stone(ローリングストーン)誌の”500 Greatest Albums of All Time”の最新版が公開された。

The 500 Greatest Albums of All Time (2020)
歴代最高のアルバム500選 2020年改訂版

Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2003)
Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2012)

2003年に最初のリストが発表され、2012年に一部改訂、8年ぶりとなる今回の改訂では、大幅に順位が変化していて興味深い。過去は不変ではなく、現代の価値観でその見え方が変わっていくことがよく分かる。2012年版まではロックがポピュラーミュージックの本流と考えられていたが、今や多くの流れの一つになったという印象。

1. Marvin Gaye “What’s Going On”(前回6位)
2. The Beach Boys “Pet Sounds”(同2位)
3. Joni Mitchell “Blue”(同30位)
4. Stevie Wonder “Songs in the Key of Life”(同57位)
5. The Beatles “Abbey Road”(同14位)
6. Nirvana “Nevermind”(同17位)
7. Fleetwood Mac “Rumours”(同26位)
8. Prince and the Revolution “Purple Rain”(同76位)
9. Bob Dylan “Blood on the Tracks”(同16位)
10. Lauryn Hill “The Miseducation of Lauryn Hill”(同314位)
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Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2012)

上位はほぼ変化無し。カニエ・ウェストのアルバムが新たに3枚入ったほか、レディオヘッドの「Kid A」が大きく順位を上げる(428→67)など、一部アップデートされている。

Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2012)

1. The Beatles “Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band” 1967
2. The Beach Boys “Pet Sounds” 1966
3. The Beatles “Revolver” 1966
4. Bob Dylan “Highway 61 Revisited” 1965
5. The Beatles “Rubber Soul” 1965
6. Marvin Gaye “What’s Going On” 1971
7. The Rolling Stones “Exile on Main St.” 1972
8. The Clash “London Calling” 1979
9. Bob Dylan “Blonde On Blonde” 1966
10. The Beatles “The White Album” 1968
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Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2003)

Rolling Stone’s 500 Greatest Albums of All Time (2003)

1. The Beatles “Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”
2. The Beach Boys “Pet Sounds”
3. The Beatles “Revolver”
4. Bob Dylan “Highway 61 Revisited”
5. The Beatles “Rubber Soul”
6. Marvin Gaye “What’s Going On”
7. The Rolling Stones “Exile On Main St.”
8. The Clash “London Calling”
9. Bob Dylan “Blonde on Blonde”
10. The Beatles “The Beatles (The White Album)”
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ニール・ヤング回想 Special Deluxe : A Memoir of Life & Cars

「ニール・ヤング回想」

旧車マニアであるニール・ヤングが車との関わりを軸に半生を振り返った回想記。原題は「Special Deluxe:A Memoir of Life & Cars」。

ロックのレジェンド、我が道を行くという点ではディランと双璧ともいえるニールの半生は、それだけでも興味深い。ただ、自伝や伝記は既にあるし、内容はそちらの方が細かい。×年型○○と車の名前が次々と出てくるからアメ車ファンにはたまらない内容だろうが、自分にはその方面の知識も車への関心も全く無い。さらに、学術書のような値段(4800円)が、手に取るのをためらわせていた。

しかし、いざ読み始めてみると、これがめちゃくちゃ面白い(自分がニール・ヤングの熱狂的なファンであるということを差し引いても)。
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