ダムに沈んだ山人集落の記録。著者は新潟県北部、朝日連峰の山中にある三面集落に1985年の閉村直前に長期滞在し、16ミリフィルムでその生活を記録した。狩りの習俗から、採集、農耕、日常生活まで、村人の語りを中心に丁寧にまとめており、失われた山村の生活の貴重な証言となっている。
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古文書返却の旅―戦後史学史の一齣
戦後まもなく、水産庁の研究所で、全国の漁村に残る古文書を集めようという壮大なプロジェクトがあった。日本常民文化研究所に委託されて始まったその事業は結果的に打ち切りとなり、日本各地から収集された膨大な文書が後に残された。
著者はその後始末を通じて、網野史学とも呼ばれる新たな歴史認識を築き上げた。三十年以上も未返却となっていた文書を頭を下げながら返却して回り、その過程で襖の下張文書などから新たな史料を見出し、日本史の常識を疑い始めた。
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宮本常一を旅する
宮本常一の足跡を訪ねる旅。ただの紀行文ではなく、宮本民俗学を補い、現代につなぐ優れた仕事。
宮本は民俗学者であると同時に稀代の旅人でもあり、優れた農業・地域振興指導者の顔も持っていた。宮本が何を記録し、同時にそれぞれの土地に何を残していったのか。著者は宮本の膨大な資料を読み込んだ上で各地を回り、宮本が見たもの、見残したものを探っていく。
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辺境を歩いた人々
日本では、探検家といってもあまり具体的な名前が浮かばない人が多いかもしれない。小さな島国で、未踏の地、未知の地とはあまり縁がなかったようなイメージがあるが、実際には多くの探検家や旅行者が辺境を調査し、“国土”を切り開いてきた。
流刑先の八丈島で「八丈実記」という詳細な地誌を残した近藤富蔵。東北を歩き、民衆の生活誌を細かく記した菅江真澄。蝦夷地の内陸部を踏査した松浦武四郎。南西諸島と千島列島の調査に先鞭を付けた笹森儀助。4人の半生を中心に、辺境を歩いた先人の業績を語る。
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性・差別・民俗
赤松啓介は1909年生まれ。左翼運動で投獄された経験を持つ反骨の民俗学者。本書は「非常民の民俗境界」として88年に刊行されたもので、性風俗、祭り、民間信仰を中心としたエッセイ風の論考集。
名著「夜這いの民俗学」などでお馴染みの夜這いの話題から、祭りや民間信仰と性の解放の密接な関係など、内容は多岐にわたる。その根底に、既存の民俗学への不満と、学問の名を借りて共同体を体系化、組織化しようとする国家や権力への不信がある。
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宮本常一と土佐源氏の真実
井出幸男「宮本常一と土佐源氏の真実」
宮本常一が記した文章で最も有名な「土佐源氏」。老博労の聞き書きで、前近代の庶民の性に関する民俗学資料として評価されてきたが、そこに創作、脚色が混ざっていることも以前から指摘されてきた。著者は、宮本常一の若き日の恋愛遍歴にまで踏み込んで、土佐源氏に投影された宮本自身の体験を探っていく。
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山怪 山人が語る不思議な話
海に生きる人びと
宮本常一「海に生きる人びと」
広い国名が書かれていたという印象的なエピソードから始まる、宮本常一による日本民衆史の一冊。
漁労に従事しながら移動を続けた海の民の歴史。
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宮本常一と写真
石川直樹、須藤功、赤城耕一、畑中章宏、宮本常一「宮本常一と写真」
宮本常一の写真は決して上手な写真ではない。自身の影や被写体と関係の無いものがよく写り込んでいる。ただ、どこかひかれるものがある。
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山窩は生きている
三角寛「山窩は生きている」
戸籍を持たず、隠語を使い、簑直しや竹細工を生業とする神代からの漂泊の民―サンカという幻想を確立し、自らもそれに夢中になってしまった三角寛の短編集。
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