海に生きる人びと

宮本常一「海に生きる人びと」

広い国名が書かれていたという印象的なエピソードから始まる、宮本常一による日本民衆史の一冊。漁労に従事しながら移動を続けた海の民の歴史。ある者は塩焼きなど生業の転換で、ある者は支配権力による加子浦の編成にともなって各地に定住していった。移動する民は文字を持たず、歴史は定住民の立場から語られる。海に生きた足跡は地名や伝承に一部残っているに過ぎない。 今どき日本人が農耕民族と言い切る人も少ないだろうが、 瀬戸内海から九州以西にかけての海民の動きから列島を見ると、孤立した島国とは全く違うイメージが立ち上がる。

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