その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱

高橋久美子「その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱」

今や地方の土地は負の資産になりつつある。貸駐車場に転用できるような土地はまだいいとして、中山間地の農地や山林などは放置するわけにもいかず、かといって買い手もいない。

父が実家の田んぼを太陽光パネルの業者に売る――。母からの電話でそのことを知った著者は、自ら土地を買い取り、田畑として維持することを決意する。その後の試行錯誤の日々をまとめたエッセー集だが、これが滅法面白い。

自然エネルギーの重要性の一方で、太陽光発電にも災害時のリスク等さまざまな課題がある。兼業・小規模農家の経営の厳しさ、農地取得の難しさ、里山の荒廃とそれに伴う獣害の深刻化、そして、地域社会の息苦しさ……。著者の体験は、まさに現代日本の抱える課題を浮き彫りにしていく。

パワフルで、軽やか。ユーモアに富んだ筆が、読み手の価値観を揺さぶる。

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