おんなのこはもりのなか

藤田貴大「おんなのこはもりのなか」

「マームとジプシー」を主宰する気鋭の劇作家・演出家のエッセイ集。変態的な感性と優れた言語感覚。

乱暴にまとめてしまえば、女の子が好きだということをいろいろな角度から書いている。体毛や鼻水への執着など、ドン引きする人もいれば、怒る人もいるだろうし、そこに舞台人らしい人間の身体への深い愛着を読み取る人もいるかも。女性のことを延々と書いているのは、男性の身としては読んでいてなかなかきついものがあるけど、それは連載した女性誌の編集者からのリクエストということなので仕方がない。

著者は舞台芸術の表現者として抜群のセンスを持っていて、繊細で魅力的な世界を毎回作り上げているのだけど、舞台を観ていて時折その屈託のなさにあてられたような気分になる時がある。郷愁も喜怒哀楽も、全てに透明感がある。エッセイでも、自分の気持ち悪さを開陳することにためらいもなければ、喜びも感じていないように見える。そこには屈託もなければ、含羞もない。自分に自信がある、というより、自信を超越したところにいる、という印象。天才ということか。

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