四畳半タイムマシンブルース

森見登美彦著、上田誠原案「四畳半タイムマシンブルース」

名著「四畳半神話大系」の16年ぶりの続編にして、久しぶりの“腐れ大学生”もの。といっても前作の後日譚を描くのではなく、外伝、二次創作的な内容。劇団「ヨーロッパ企画」の名作「サマータイムマシン・ブルース」を「四畳半」の世界に翻案し、おなじみのキャラがタイムマシンを巡る騒動を繰り広げる。

SF研究会の部室に突然タイムマシンが現れる。部員たちは前日に壊れたエアコンのリモコンを取りに昨日に向かうが、過去の改変が自分たちの存在に影響を与えるかもしれないと気づき、あわてふためく。「昨日」と「今日」のつじつまを合わせようとすればするほど、混乱は拡大していく――。

というのが「サマータイムマシン」のあらすじだが、この舞台をそのまま「四畳半」でおなじみの「下鴨幽水荘」に。小津、樋口氏、明石さんといった個性豊かな「四畳半」のキャラクターが見事なほどストーリーにはまっていて、森見ファンにも、ヨーロッパ企画ファンにも楽しめる。

タイムパラドックスというSFの定番テーマを笑いの仕掛けに変えた傑作舞台を、「四畳半」のキャラクターという超個性派俳優陣で上演したようなもの。面白くないはずがない。

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