曲がれ!スプーン

上田誠「曲がれ!スプーン」

*戯曲(読み物)としての面白さ。上演は☆5

「曲がれ!スプーン」(冬のユリゲラー)と「サマータイムマシン・ブルース」。ともに映画化もされた劇団「ヨーロッパ企画」の初期の代表作2本。

「曲がれ!スプーン」は超能力者たちが集うカフェでのドタバタ劇。「サマータイムマシン・ブルース」は、大学のSF研究会の部室に現れたタイムマシンを巡る騒動を描く。壊れたエアコンのリモコンを取りに過去へと旅立つ部員たちだが、過去の改変が自分たちの存在そのものに影響を与えてしまうかもしれないと気づき、つじつまを合わせようと四苦八苦。SFの定番、タイムパラドックスというテーマを笑いの仕掛けとして取り込み、過去と現在の行き来で生じた数々の伏線を終盤に回収する構成が見事。

ヨーロッパ企画は2018年に、「ブールス」と、その15年後を描く新作「サマータイムマシン・ワンスモア」を同時上演。「ワンスモア」では、同窓会で部室に集まった元部員たちが、再びタイムマシンを見つけて過去に旅立つ。タイムマシンは3台に増え、15年前の自分たちも巻き込み、展開はより複雑に。代表作にあえて同じ設定と素材で挑み、それを超える傑作を生み出した。

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