引きこもりたちが、変わり者のカウンセラーの呼びかけで、「不気味の谷」を超えたバーチャルアイドル創作のプロジェクトに参加する。
荒唐無稽だが、決してスケールが大きいわけでも無い。それでもどこか惹かれる。不思議な手触りの小説。
“ヒッキーヒッキーシェイク” の続きを読む
読んだ本の記録。
引きこもりたちが、変わり者のカウンセラーの呼びかけで、「不気味の谷」を超えたバーチャルアイドル創作のプロジェクトに参加する。
荒唐無稽だが、決してスケールが大きいわけでも無い。それでもどこか惹かれる。不思議な手触りの小説。
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上田誠「曲がれ!スプーン」
*戯曲(読み物)としての面白さ。上演は☆5
「曲がれ!スプーン」(冬のユリゲラー)と「サマータイムマシン・ブルース」。ともに映画化もされた劇団「ヨーロッパ企画」の初期の代表作2本。
“曲がれ!スプーン” の続きを読む
SFの楽しみの一つが壮大なホラ話の中にどっぷり浸かることだろう。本作のホラのスケールは別格。スペースオペラの風呂敷に、尖ったアイデアを、世界観と物語のテンポを損なわないぎりぎりの量まで詰め込んだ。思考実験的な作品や、科学・数学の論理を突き詰めたハードSFに対し、こうしたSF作品を「ワイドスクリーン・バロック」というようだ。
“カエアンの聖衣” の続きを読む
SF短編集。ライトノベルやヤングアダルト(青少年向け)に位置づけられる作品かもしれないが、それぞれに設定が面白く、年齢やSF趣味の程度を問わず楽しめる。
“アリスマ王の愛した魔物” の続きを読む
寡作なSF作家、テッド・チャンの短編集。表題作など8編。ファンタジー的な「バビロンの塔」から、「アルジャーノンに花束を」を連想させる「理解」、差別の問題を扱った「顔の美醜について」まで、題材、趣向はさまざまだが、科学、言語、倫理、宗教などのもたらす世界観の相剋が物語の根底にある。
“あなたの人生の物語” の続きを読む
今年は劉慈欣の「三体」が話題になったものの、中国のSFと言われて具体的な作品が思い浮かぶ人は多くないだろう。そもそも中国文学の邦訳は言語圏の大きさに比して極めて少ない。
本書は中国の作家のSFアンソロジー。7作家の短編13本とともに、SF論的なエッセイや各作家についての解説も収録されている。中国文学の今を伝えるとともに、SFというジャンルの幅と奥行きを示す充実した一冊となっている。
“折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー” の続きを読む
石原莞爾の思想が語られる戦中・戦後、心療内科医の主人公が奇妙な体験をする現代、「個」が廃止された地球で現代人のGenius lul-lulがコールドスリープから目を覚ます未来の三つの時代が交互に描かれる。
効率、必然で歴史が進んでいくとしたら、人間を人間たらしめているのは、それに抗う力なのかもしれない。
“キュー” の続きを読む
SF界の新星として話題になっている著者の短編集。
表題作は、可能世界を自由に行き来することができるようになった人々が暮らす世界が舞台。並行世界や可能世界というと重厚なイメージが強いが、無数の「こうだったかもしれない世界」を飛び回る少女たちの青春を生き生きと描いている。
“なめらかな世界と、その敵” の続きを読む