トルコ、レバノン、モロッコ、エジプト、イエメン、イスラエル。音楽ライターの著者が中東を旅しつつ、各地の食文化に触れ、現地の料理を習っていく。レシピ付きエッセイ本というより、エッセイ付きレシピ本と言った方がふさわしいくらい各章末のレシピが充実しており、その数52品。いずれも日本で再現可能で、実用性も高い。
食はその土地の姿を最も雄弁に浮かび上がらせる。イエメン以外は自分でも訪れたことがある国だが、当時は金銭的に食を楽しむ余裕なんて無く毎日似たようなものばかり食べていた。そんなわけで、本書に登場する料理は実際にはほとんど食べたことがないが、それでも登場する食材や市場の描写に懐かしい気持ちになり、トルコやレバノンの食の豊かさには改めて驚かされた。
著者のレシピ本「MEYHANE TABLE」と被っている料理が多いものの、使用するスパイスの種類や分量が微妙に異なっているレシピもあり、両方とも購入して損はない。ネットで大抵のレシピが見られる時代だけど、マイナーな国の料理は、まだまだ本の方が信頼でき、良さそうなものを見かけるとついつい買ってしまう。
「イスタンブルで朝食を」は「おいしい中東」の続編。登場する国は概ね同じで、こちらはレシピ36品。