上海からバリ、インドまで、アジアのさまざまな国を舞台にした中島らもの短編集。寓話のようなエピソードから、日常を切り取った一篇まで、短くも鮮やか、不思議な読後感がまさに“らも節”。食事の描写が多く、その土地の匂いが漂ってくる。
ヤシの実を頭に載せた高僧(「ココナッツ・クラッシュ」)。落ちてくるドリアンをひたすら待つ青年(「ドリアンを待ちながら」)。宝石堀りの青年の栄華と死(「光の王」)。上海の最深部(「大世界的闇」)。ベトナムの戦跡でバッドトリップ(「トンネル王国」)など。
個人的には、インドを舞台とした「KUMIKO」が印象に残った。
(インドでこのタイトル。クミコハウスの事かと思ったら全く関係なかった)