アイデア大全

読書猿「アイデア大全」

その名の通り、“発想法”の事典。古今東西の発想法、アイデアの出し方、視点の変え方、考え方の工夫が、実際にまねすることが出来るように事例付きで紹介されている。

弁証法的思考という基本的なものから、さまざまなフローチャートやカードを利用しての問題分析の手法、生涯にわたって膨大なアイデア・ノートを記し続けたダビンチやエジソンの姿勢、問題に対して「なぜ」を5回重ねる「なぜなぜ分析」、離れた分野に共通項を見いだすロジェ・カイヨワの思考法、意外な物を組み合わせるシュールレアリスムの手法の一つ「デペイズマン」など、扱う分野は多岐にわたる。

おそらく、創造性にあふれた人や、優れた改革者と呼ばれるような人々は、ここに記されている様々な発想法を意識的、無意識的にかかわらず自分のものとしているのだろう。

非常に具体性のある内容で、凡百の自己啓発書や指南書とは決定的に異なる。常に新しいアイデアを求められるビジネスマンや、改革に追われる組織のリーダーらにとっては、これ以上ないヒント集となるだろうし、さしあたってアイデアを出す必要のない身にとっても、人間がいかに思考の工夫を積み重ねてきたかという視座を与えてくれる有益な書。

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