扇田昭彦「日本の現代演劇」
60~80年代を中心に日本の現代演劇史がとても分かりやすくまとまっているとともに、著者個人の観劇体験が書かれていて、演劇ファンが何を見て、どう感じてきたのかの記録ともなっている。
「戦後文学」のような「戦後演劇」を作れなかった新劇、唐十郎らが目指した身体性、蜷川幸雄が商業演劇に移った意味と功績、寺山修司の異端性がどこに由来しているのか、70年代のつかこうへい、80年代の野田秀樹が演劇にもたらしたもの……
余談だが、こうした分かりやすい演劇史が、関西や地方の演劇活動についても書かれてほしい。地方で優れた作品が作られても、それは歴史からこぼれてしまう。