莫言「赤い高粱」
抗日戦争の時代を舞台に、中国山東省に生きた一族の物語。幻想的な高粱畑の描写が続く。
マジックリアリズムとは違うと思うけど、スタイルだけではなく、小説全体にガルシア・マルケスのような雰囲気が漂う。ノーベル文学賞の受賞理由に挙げられた“hallucinatory realism”、幻覚的という言葉が確かにしっくり来る。南米と中国の農村にはどこか風土に通じるものがあるのかもしれない。
以前行ったボリビアやペルーの町は、遠くから見ると荒野に築かれた人の巣のように見える。その風景を思い出した。