佐野眞一「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」
「月刊PLAYBOY」の連載をまとめた約650ページの大作。沖縄やくざの系譜や琉球独立論、知事選の泡沫候補など、忘れられた沖縄の現代史を訪ね歩く。
沖縄を“被害者”として神聖化するのではなく、戦果アギヤーや軍用地主の存在、奄美出身者への苛烈な差別なども取り上げている。
インタビューが中心で、結論も信憑性もあいまいな部分はあるが、これぞ雑誌ジャーナリズム。「話を聞く」「次の人を紹介してもらいそこへ行く」の繰り返しで歴史を紡ぐ手法は、テーマは違えど著者の敬愛する民俗学者、宮本常一に重なるものがある。