ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー

山田詠美「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」

著者の初期の代表作で、直木賞受賞作。ソウル・ミュージックをBGMに、黒人社会の恋愛を描く。小洒落た雑誌に載っていそうな翻訳小説の雰囲気だが、性を描写しつつ透明感のある洒脱な文章に著者の作家性が強く表れている。

ゲームのような男女の関係の中に身を置きつつ、ある日、世界の姿が一変するほど引きつけられる相手と出会う。やがて自分の一部を失うような別れが訪れ、世界の見え方は再び変わってしまう。

あとがきで黒人が好きだと言い切り、「私の心はいつだって黒人女(シスター)だよ。日本語を綺麗に扱える黒人女(シスター)は世の中で私だけなんだ」と書いてしまう。このあとがきまで含めて著者の作品と言えるのだろうけど、今読むと一種のオリエンタリズムという気がしなくもない。

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