タダイマトビラ

村田沙耶香「タダイマトビラ」

子に無関心な母親のもとで育ち、カーテンに包まれるという家族欲を満たすための自慰行為「カゾクヨナニー」にふける少女。成長して“本当の家”を作るパートナーを見つけたと感じたのもつかの間、その相手も家族欲を満たすためだけに自分を求めていると気づき、家族欲そのものがない世界こそが本来の姿だと悟る。世界が崩壊していくようなラストはかなりダークだが、個人的には、重いというよりやや安っぽい印象を受けてしまった。それまでの抑制的な筆致の方が恐ろしい。

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