小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾、村上春樹「小澤征爾さんと、音楽について話をする」

クラシックにはそれほど詳しくないし、小澤征爾指揮の演奏を聴き込んでいるわけでもない。それでも、このインタビューにはかなり引き込まれた。

カラヤンやバーンスタインとの思い出から、マーラーへのこだわり、サイトウ・キネンでの活動、若い世代への指導……。生涯をかけてひとつの事に打ち込んできた人から出る魅力が言葉の端々に。
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M/D ―マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究

菊地成孔、大谷能生「M/D ―マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究」

圧倒的な分量。講義録だけど、明らかに加筆しまくったと分かる、くどく(ほめ言葉)、濃密な文章。

アンビヴァレンス、ミスティフィカシオン、戯画的なポップさ、革命家ではなくモードチェンジャー、スターへの憧れ、飽きっぽさ。
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東京大学のアルバート・アイラー ―東大ジャズ講義録

菊地成孔、大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー ―東大ジャズ講義録」歴史編&キーワード編

講義録だが、むちゃくちゃ面白い。音源を次から次へと紹介しながら、軽妙な語り口で菊地・大谷史観とも言うべきジャズの歴史を編んでいく。これまで何となく聞いていたジャズが高度な記号性や論理を有し、それが商業性の中でどう変化してきたかがよく分かる。
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ポートレイト・イン・ジャズ

和田誠、村上春樹「ポートレイト・イン・ジャズ」

和田誠が描いたミュージシャンの肖像に村上春樹が短いエッセイを付けたもの。文章は気障すぎるけど、ジャズへの思いが伝わってきて、読んでるこちらも色々と聴きたくなる。

名盤ガイドや評伝とは違って非常に個人的な内容だけど、音楽を聴くってのは本来はこういうことなんだな、と思う。

鳥の歌

パブロ・カザルス「鳥の歌」

カザルスの発言と短いエピソード集。自由と平和を何よりも希求し、音楽の力を信じた高潔さの一方、現代音楽に耳を貸さない頑固さも伺えて面白い。

シンプルな内容だけど、愛にあふれた一冊。
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