M/D ―マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究

菊地成孔、大谷能生「M/D ―マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究」

圧倒的な分量。講義録だけど、明らかに加筆しまくったと分かる、くどく(ほめ言葉)、濃密な文章。

アンビヴァレンス、ミスティフィカシオン、戯画的なポップさ、革命家ではなくモードチェンジャー、スターへの憧れ、飽きっぽさ。

神話を解体しつつも、Milesのユニークさが際立つ。先端を走っていたわけではないのに、個人史と音楽史が一致し、振り返ると歴史を作ってきたように見える不思議な存在。上下巻で千ページ超を持ってしても、まだまだ全然語り切れていない感じが残る破格さ。

Milesの強烈な魅力は、どこかとらえどころのなさがあったが、その由来が分かった気がする。

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