告白

町田康「告白」

あまりに思弁的で、百姓としても侠客としても生きられず、身を滅ぼしていく主人公・熊太郎。

「河内十人斬り」の実話を基にした一風変わった時代小説。「告白」のタイトルどおり、主人公の内面描写が800ページ延々と続くが、河内弁の饒舌な語り口で冗長さは感じさせない。

飢餓同盟

安部公房「飢餓同盟」

寂れた田舎町で、中身の無い空虚な革命を目指した男は次第に狂っていく。1954年刊の安部公房の初期作品。左翼でありながら、左翼に対する冷めた見方も持つ安部公房の立場がうかがえる。