死者の書・身毒丸

折口信夫「死者の書・身毒丸」

高校生の時は全く理解できなかった、というより、あらすじすら掴めなかった。

ほぼ十年ぶりに読んでみて、美しい小説だと感じた。ただ予備知識がないせいで、文章の速度に付いていけない。

した した した。

きつねのはなし

森見登美彦「きつねのはなし」

内田百閒の「冥途」のような雰囲気。具体の伴わない恐怖や焦燥感。「四畳半神話大系」のような作品の一方、こういう作品も書ける、良い意味で器用な作家だと思う。

夏への扉

ロバート・A・ハインライン「夏への扉」

後半のやや乱暴な展開も含めて素敵な物語。50年以上前の作品というのはちょっと驚き。中学生くらいで読んでいたらかなり好きになっていたかも。

“ドアというドアを試せば、必ずそのひとつは―”

闇の奥

ジョゼフ・コンラッド「闇の奥」

新訳で結構読みやすかった。やっぱりこれは植民地主義云々とか人間性の闇とか、そういう話じゃないな。 The horror! The horror!

お伽草紙

太宰治「お伽草紙」

これは良いなあ。太宰治は、このくらいの勢いで書いた作品の方が本来の才能がにじみ出ている気がする。特に舌切り雀なんて仮名遣いを除けばまったく古さを感じない。

百年の孤独

ガブリエル・ガルシア=マルケス「百年の孤独」

要約が不可能なほど、豊かで圧倒的な密度の物語。本当に力を持った物語に触れると、感想は出てこない。

好き好き大好き超愛してる。

舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」

死や物語に真摯に向き合い、思い切った構成も良いんだけど、どこか物足りない。 中高生向けなのか、安っぽいケータイ小説へのアンチテーゼとしてあえて同じレベルに落としているのか。終わりの方はちょっと良かった。

八つ墓村

横溝正史「八つ墓村」

もはや古典だが、松本清張より古さを感じさせない。 田舎の閉鎖的な雰囲気と、物語そのものに引き込まれる。漫画でも、ドラマや映画でも、この作品のオマージュというべきものがたくさんあるが、原点にして完璧。

新釈 走れメロス 他四篇

森見登美彦「新釈 走れメロス 他四篇」

上手いな~。読んで面白いだけでなく、感心してしまう出来。

この人の文体は、古典小説の真似と、大学生のくだらないノリが上手く混ざり合っている。巧みな名作のパロディに終始にやにや。

1Q84 BOOK3

村上春樹「1Q84 BOOK 3」

おそらく、この物語はこれで完結したのだろう。BOOK3で意外なほど、おとなしく着地してしまった。BOOK1、2を読み終えた時は未完成だと感じたが、通読すると、2で一応すべての要素は出尽くし、完結していたような気もする。
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