古本屋で目についた一冊。「十八番」や「二枚目」、「三枚目」など、芝居由来ということが広く知られている言葉から、「お土砂」などのマイナーな言葉まで、語源を考察しながら歌舞伎の舞台裏などを綴ったエッセイ。ひと昔前の本だけあって、最近は見ない言葉まで載っているのが面白い。
「千松」なんて、『伽羅先代萩』や『伊達の十役』を見たことがあるから意味が推察できたものの、今でも使っているのだろうか。
ほかにも、「ごね得」について、文句を言う様はごてるで、ごねるは死ぬ意味なので、「ごて得」が本来の用法。「幕開け」ではなく「幕開き」。「裏方」より「表方」の方が芝居用語としての歴史が古い……などなど、初めて知ることが多かった。