菊池俊彦「オホーツクの古代史」
オホーツクの歴史と言われ、何か具体的なイメージが湧く人が、日本にどれだけいるだろうか。
古代中国の文献に登場し、サハリンかカムチャッカにあったとみられる流鬼国と夜叉国。著者は僅かに残された文献上の記録と発掘調査の結果から、サハリン=流鬼、コリャーク=夜叉と推定する。
北海道沿岸や北方領土など、日本史の一部とも言える地域なのに、オホーツクの歴史について学ぶ機会はほとんど無いし、扱った本も極めて少ない。空白地帯に思えるが、実際は多くの遺跡が見つかっている。
こうした無文字世界の歴史は非常に面白い。オホーツク海を中心とした地図を見ていると、日本海と同じく半島と島に囲まれた非常にきれいな内海だと感じる。