戦場の精神史 武士道という幻影

佐伯真一「戦場の精神史 武士道という幻影」

多くの軍記物に記されつつも、あまり注目されない騙し討ちの場面。戦場で生まれた「武士道」は本来、虚偽・謀略を働いてでも、勝つこと、功名を立てることが第一であった。

合戦が遠い存在となった近世の太平の世で、当時は異端とも言える「葉隠」が生まれ、明治には新渡戸稲造の「武士道」が広く読まれるようになる。

新渡戸自身が「武士道」の古来の用法を知らず、自らの造語だと思っていたという点が興味深い。

創られた「武士道」が古来の価値観を換骨奪胎し、歴史は錯覚される。とても刺激的な一冊。

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