石川直樹「最後の冒険家」
08年、手製の熱気球で太平洋横断に挑み、行方不明になった神田道夫。著者の石川はその4年前、同じ挑戦に副操縦士として同行し、失敗。太平洋上で共に生死の境を彷徨った。
「植村直己やラインホルト・メスナーの時代に、地理的な冒険は終わっている。そしてその瞬間、冒険家という存在自体もありえないものになった」と、自身も極地への旅を重ねてきた石川は書く。そして、神田を最後の冒険家と呼ぶ。
「冒険家」がなぜ危険を冒してまで挑戦を続けるのか。明確な答えはないが、神田の生き方にその業の深さを感じることができる。